ききみみずきんと本と図書館と…
あなたが今読んでいる本と出会ったところは何処ですか?
この本あの本
岩波文庫で「近代日本文学案内」が出て、
その著者が十川信介さん。
この類の本は、その道の第一人者か大家に拠るのが相場なので、
十川さんもこういうものを書かれるようになられたのだ、と思い、
借りてみました。
私が学生だった1970年代の始めの頃、
当時二葉亭四迷論と言えば、中村光夫さんのそれのみが屹立していました。
そこへ表れた新しい二葉亭四迷論を書かれたのが十川さんのそれで、
ちょっとした話題になっていたように思われ、
日本近代文学史の新進の気鋭として、記憶に残っています。

この本を手にすべく、久々に岩波文庫の書棚の前に立ったのですが、
捜しているうちに、正宗白鳥の「新編 作家論」が目に止まり、驚きました。
へぇー、こんなんが岩波文庫に…
日本近代文学に関心深かりし大学生の頃、
全く分けが分からないまま、惹かれたのが白鳥の作家論で、
大学の図書館にあった古い「文壇人物評論」、一気に読みました。

後年福武書店から全集が出まして、
そこで、 他の「自然主義盛衰史」「文壇五十年」等を読むことが出来、
大変喜んだことも本読みとしての懐かしい思い出の一つとなっています。
ボンヤリ読むとつまらぬ事をつまらないとだけしか書いていないようですが、
なかなかどうして、いろいろ教えられ感じさせられるところの多い評論でした。
今度の岩波文庫の解説を、この歳で読むと、
どうして自分が惹かれたのか、少し分かるような気がしました。
私が他にも好きだった作家文章書きとして、
広津和郎や吉田健一といった年寄りのものが多い、
というところに通ずるものがあります。
文章を通していろいろ学ばせていただいたのです。

図書館の書棚を見渡していて、
思わずオッ!と声に出し、
電光石火の早業で引き出し手にしたのが、
「トールキンのガウン」。
これは、是非手にしてみたかった本で、
小躍りしたくなる。

それから、「ミステリーの名書き出し100選」を何気に手にしました。
こういうベストものとか、初心者向けだったり、マニアックなものも、
敬遠する嫌いがややあるものの、そう毛嫌いするほどでもなく…
和田誠さんの表紙!
「ちょっといいかも?」と思いつつ開いたところが、
イアン・フレミング著「007/ゴールドフィンガー」松坂健評
のページで、見開き二ページに渡り、吉田健一さんのことが書いてある。
もう、それだけで、即、借り出し決定でした。
家で寝転がって目次を見ると、相好が崩れていく。
「いい本だなぁ〜」

いい本と言えば、「蝶々は誰からの手紙」もそう。
大学生の頃せっせと読んでいた週刊朝日の書評、
その流れを汲んで今の毎日新聞の書評がある、
と著者の丸谷才一さんは書かれていて、
その件を読み、そうかそうだったんだ!と深く納得しました。
「週刊図書館40年」が今でも開架書棚に並んでいてうれしい私です。
刊行された時だけ読まれて消え去る書評ではなく、
後々に残る、刊行時の息吹を伝える書評こそが、一番。
そう私は思うのです。

アッという間に時間が経って、
勤め人の悲しさ、明日からの仕事に備え、
打ち切らざるを得ません。
本日はこれにて、失礼します。
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職業は、製本工。
司書の講習も受けました。
趣味は、読書と映画と文章を書くこと等など



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