ききみみずきんと本と図書館と…
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今週の本棚 2007.4.22
周恩来秘録
−党機密文書は語る
高文謙著
文藝春秋
辻原登評
著者は十数年間、中国共産党の歴史を書く部門にいたが、
天門事件の際、季陵の禍に会い、アメリカに亡命した。
読みながら常に「史記」の世界が思い出される、志の高いこの書物の、
原題は「晩年周恩来」。
1932年の寧都会議の毛沢東の追放から、周恩来の死までを描く。
まず、強烈に立ち上ってくるのは毛沢東で、
やがて、周恩来が浮かび上がり、
時に容赦ない批判があるものの愛惜の情が全体に満ちた本だそうです。
劇的な精神分析入門
北山修著
みすず書房
田中優子評
自分で「本当」と思っている自分と、現実に合わせている自分。
その二重性こそが人間なのだ、と
劇場の楽屋と舞台という比喩で語っている。
その楽屋のありようが変わっていて、
舞台に出るために日々準備し、稽古し、観察し、
待ち、企画をしている場所なんだそうです。
それから、著者の臨床事例を紹介し、その患者のみならず、
著者自身の内面の過程をも描いている由。
治療とは、人間関係の演劇化(反復)との事。
高校生時代に、いろいろな面で感化を受けたフォーククルセダーズの一員として、
著者の名は、いまだに私の中にしっかりとある。
リヴァイアサン号殺人事件
アキレス将軍暗殺事件
ボリス・アクーニン著
岩波書店
富山太佳夫 評
そんなに褒めていいの?
と思わず問いそうになるほど、
富山さんにしてはぶっちぎりの賞賛です。
19世紀を舞台にしながら、
そこで描かれているものは、現在の文化状況の産物で、
それはそれは鮮やかなものらしい。
出版社名が、信じられない…ほどだ。
外交激変
−元外務省事務次官 柳井俊二
五百旗頭真・伊藤元重・薬師寺克行編
朝日新聞社
山内昌之 評
沖縄返還期以来、日本外交のいちばん困難な局面をほとんどすべて当事者として経験してきた人の回想録で、
遠慮なく複雑な思いを吐露し、
豪胆かつユーモアに富む人柄をかもし出しているようで、
読みたくなる。
日本の外交については失望させられる事が幾度かありましたが、
その舞台裏を、バランスよく述べているらしい。
無論、なにもかも率直に述べているのではなく、
様々な思いをそれに即して表現して、
この手の書物としては、なかなか類を見ないもののようだ。
ブラッサイ
パリの越境者
今橋映子著
白水社
池澤夏樹 評
写真家ブラッサイの生涯を語るのに、
作品を生のままではなく象徴的に用いた伝記。
まずもって「夜のパリ」の写真家だったブラッサイは、
写真家に収まらず、別の様々な表現も試み、
いろいろなジャンルに関わっている。
「人は会わなければならない・人と人との出会いがかくも豊穣だった時期のパリを読者は
ブラッサイの背後に見る。
読み終えた時の彼の像は少し拡散的かもしれない。しかし、これほど多くの境界線を越えた男の後ろ姿がシャープな像を結ぶはずがないのだ」
池澤さんの文章は、紹介者泣かせで、容易に継ぎ接ぎさせてくれない。
砂漠化ってなんだろう
根本正之著
岩波ジュニア新書
海部宣男 評
土地の生産力を知り、それに合った長期的方針を考える。
それが、これからの農学者の世界的役割の一つである。
地道な農学研究者の、地球的視点に立った地道な報告。
そして、農学の研究はやはり大事なんだなあということを、
実感させてくれる。
ジュニア新書だけれども、大人として深読みできるものがあるようです。
番外編
「好きなもの」は松本幸四郎さん。
その中で、永井龍男さんと鎌倉でお隣同士だった由。
思わず、ヘェ〜と声が出てしまった。
こんな事ってあるんですね。
【2007/04/23 23:34】
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