ききみみずきんと本と図書館と…
あなたが今読んでいる本と出会ったところは何処ですか?
図書館はまちの真ん中
副題が、
静岡市立御幸町図書館の挑戦
で、その通りの内容です。

平成16年9月17日開設という出来立てほやほやのこの図書館は、
ビジネス支援サービスと多言語サービスとを前に打ち出した、
新しい図書館サービスにトライしています。
立地条件&併設施設だけでなく、その準備時期から新しい試みに満ち満ちている。
図書館サービスで、わが町の県立図書館に相通ずる所があり、興味津々で読みました。

地方財政が逼迫している上に、インターネットというインフラが出来た時代、
という状況の中で、公立図書館はどうなっていくのか?
私が学生時代に、公立図書館はブックモービルなどを前面に出して、図書館を住民の身近なものにしよう、という時代でありました。図書館の分館増加、本館拡充、そして貸し出し冊数の増加という形になって現れてきています。
しかし、この方向は、景気や地方財政の逆風に吹かれ、足踏み状態であるといっていいでしょう。不景気ゆえに貸し出し冊数が増えているやも知れませんが。
公立図書館の出資者は、県や市です。その地方行政が捻出する財を今、有効に利用するという観点から考えた際、地方の景気を後押ししてくれたらどんなにいいか、という考え方は、了解されやすいものでしょう。
そこからビジネス支援サービスが出てきました。地方での起業を盛んにしたいわけです。
その為に図書館を利用して欲しい、のですね。
本を読むのに利用する図書館から、
様々な調べ物をする図書館へのヴィジョンの移行です。
新しく出来た岡山県立図書館が一番力を入れるところは、
各階各科の広いカウンターに象徴されている。
二三人の職員が常駐して利用者の相談に応じる体制をしっかりとっています。
学生時代からもっぱら借りることで利用していた図書館が、こういう装いになったら、
それなりに使い倒してみようじゃないか、という気持ちになるものです。私の場合…。

一昨年、ウェブ上に現れた聴覚障害者・難聴者を紹介する際に、図書館を利用して肉付けしたのですが、利用してみてその威力に驚かされました。
それから、事あるごとに、レファレンスを利用しています。利用する時間が無くて悔しいくらい。
これは、興味が尽きない。
なんにでも使える。残念ながらどこまでも、とは行きませんが、それでも、これは使いようによってはどんどん未来を拡げられる。

この本の終わり近くになって、菅谷 明子さんの名前が出、思わず膝を叩く。ここでは雑誌記事が紹介されているのですが、今なら無論、
「未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―」
を読まれることをお薦めします。
ニューヨーク公共図書館は公立でもないし、いろいろな意味でハイレベルだから、身の回りの公立図書館と比べるのが無理なのですが、それでも、この本を読むのに十分参考になります。そして、あなたがこれからの新しい図書館を利用する地平を拓いてくれます。
岩波新書の歴史 追補
3章黄版の時代まで読み終えました。
この辺り、私は大学を終え、社会に出て、
だんだんに読まなくなりました。
ですから、純粋に読書ガイドと化してきます。
新書の一冊一冊として取り組むのではなく、
総体として時代に取り組む様が書かれており、
その編集に各筆者が一所懸命に応えているさまが見て取れるようです。
時代と対峙する事の難しさがこちらにも伝わって感じられる。


第二章青版の時代、迄読み終えたところ。
岩波新書各色の出版とその時の時代とを描いて読み応えする。
歴史と社会科学とに偏向しているものの、
これほどの相手を総じて論じる難しさを思えば、
その健闘を称えたいくらいです。

前の赤版は、私の生前なので、歴史を勉強する趣でしたが、
青版になると、もう青春時代を含んでおり、
読みながら、あの頃もっと読んでおけば良かった!と、
後悔の念が後から後から押し寄せてくる。
少し冷静になれば、無いものねだりなのですが…(笑)

取り上げられてうれしかった本もあれば、
取り上げられなくて寂しい本もある。
岩波書店のサイトに拠れば、
品切れ書目の中から、希望の多いものを中心に毎月3冊復刊しているようです。
売り上げや、希望数から取り上げる本を選んでも良し、
各分野の担当者を用意してそれぞれを任せても良し。
でも、全然違った本になっていたでしょう。

歴史学者がある新書の出版を素材として取り上げて、
出来た本であることを忘れないように読まないと…(笑)
読む人ぞれぞれに、切り口を代え、含みを持たせて読めばいい。
アメリカを変えた本
アメリカを変えた本
ロバート・B・ダウンズ
1972 研究社

私が大学生になって間もなく刊行され、
直ぐに読んで、感銘を受けた本です。


それから、久しく時が経ち、
今では多くの図書館で、書庫へ回されている事と思う。
しかし、このような本こそ、いつまでも開架書架に置かれ、
次々と生まれ育ち、図書館を訪れる若い世代に読み継がれて欲しい。


この本で紹介されている25冊について、
著者名と書名とを下に一覧として紹介します。


ペイン… コモン・センス
ルイス&クラーク… 遠征記
スミス … モルモンの書
ボーモント … 胃液および消化生理学に関する実験と考察
トックヴィル … アメリカにおける民主主義
マン … 年次報告
ホームズ … 産褥熱の感染性
ソロー … 市民政府への反抗
ストウ … アンクル・トムの小屋
ベラミー … 顧みればー2000年より1887年
マハン … 海洋支配力の歴史に及ぼす影響
ターナー … アメリカ史におけるフロンティアの意義
ステファンズ… 都市の恥
シンクレア … ジャングル
フレクスナー … 合衆国およびカナダにおける医学教育
アダムズ … ハル・ハウスの二十年
テイラー … 科学的経営の原理
ビアード … 合衆国憲法の経済的解釈
メンケン … 偏見録
カルドーゾ … 司法過程の性質
リンド夫妻 … ミドルタウン
キャッシュ … 南部の精神
ミュルダール … アメリカのディレンマ
ガルブレイス … 豊かな社会
カーソン … 沈黙の春


法の世界から、自然科学、文学へと至る広範囲の本を、紹介しています。


時代が、その本を生んだという事もあれば、
その本が、新しい時代の幕を開いたということもあります。
アメリカを舞台にし、書物というメディアに限られているけれど、
それらの枠を越えて、
世界に、人類に貢献した本も含まれている。


アメリカの近代から現代に至る歴史の一部を学びながら、
いろいろな分野での人々がそれぞれの仕事を通して、
なにかを成し遂げた伝記としても読めます。


自分の人生で、何をしたいのか、どう生きたいのか、
自問をしながら、テーマを探している若い人に、
いくつもの考えるヒントがここにはあると、是非伝えたい。


常日頃マスメディアで報じられるアメリカが、
余りにも至近距離から捉えられたものばかりだけに、
こういう長いスタンスで、見ることもあっていいと思います。


かたい内容なので、とっつきにくいかもしれませんが、
読み応えのある本です。


プロフィール

Author:ききみみずきん
職業は、製本工。
司書の講習も受けました。
趣味は、読書と映画と文章を書くこと等など



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