| 翻訳の話 |
翻訳に関心ある方、 今回のネバーランドVol.10は、見逃せません。
先に今泉さんが同雑誌でされた批評に、 訳者と出版社とが答えたものが掲載されています。
翻訳の裏の事情と言いますか、 さまざまな工夫や苦心が、 はからずもいろいろ詳しく書かれております。 こういう機会でもなければ、 なかなか表に出ないことだろうな、 と一読して思いました。
そして、著名な方の批評を、 わが事のように引いて持ち上げる愚も犯したくない、 と思いました。 自分には絶対無い、と言い切れない…(汗)
翻訳の裏には、 作品の発掘&版権習得から、 訳文作成、そして編集と、 さまざまな腐心があるかもしれない事、 肝に銘じた昼下がりだったのです。
そりゃ、まぁ、中には、 随分酷い、いい加減なものもあるでしょうが、 そこは一つ自分の言葉で素直にしませう。
この雑誌、以前、 カニグズバーグの翻訳文でも話題になりましたよね。 引き続き、気にかけていけたらいいな、 と思います。
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| 海外ベストセラー |
ミステリーマガジン2008・7号を捲っていたら、 海外ベストセラーの紹介をしていました。
英国ネット書店の クライム・ミステリー&スリラー部門の由。
第一位は、新しいボンド作家として公認?された、 セバスティアン・フォークスによる、 007シリーズ最新作です。 これに関するブログ記事を一つ。 http://www.fusosha.co.jp/mysteryblog/2008/06/post_76.html
それから、4位に桐野夏生著「OUT」の英訳本が入ってきています♪
そして、第7位に、 ローガン・マクレイ・シリーズの第4作が…! スチュアート マクブライドによるこのシリーズ第一作、 「花崗岩の街」は、気に入ってて次作待ちですが、 第3作までの出版契約とどこかで読んでいたけれど、 もう4作がヒットしている♪ うれしいです。
こんな翻訳待ちがあると、 「後数年は死ねない」をいう思いを抱きながら、 ズーッと生きていきそうです。 ほんやく本好きは、長生きするかな?
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| ドナルド・キーン |
ヘニング・マンケルを読みながら、 途中で、「私と20世紀のクロニクル」を読み出す。 「リガの犬たち」を読み終えたのを潮に一気に読み終えました。
文字通りに、キーンさんの世界に引きずり込まれ、 読みながら、キーンさんのあの本、この本が読みたくなり、 次に巡ってきた休日、図書館で幾冊かを借り出したのですが、 マンケルも読みたいし…、 と引き裂かれる思いをします。
とりあえずは、疲れた時にマンケル、 もうちょっと、元気で家におればキーン、 としませうか。
でも、引っ張るのはお二方ばかりではありません。 ヘロドトスも、ケインズも、ヒルも…
昨日、会社に、マンケルを持っていくのを忘れました。 「白い雌ライオン」は、700ページを越える分厚さ重さで、 いつも肩に引っ掛けているショルダーバックへ入れると、 バッグを傷めないかと心配になる。 で手持ちにして忘れたのですが、 忘れたその日、昼休みに何か無いかと物色すると、 以前買ったブルータスの本特集号があり、再読する。 あれから少し増えた知識と忘却とで読めました。 これはいい、と味を占め、もう一つ用意しておこうと思う。 そうだ、今出ている「考える人」がいい! と思いつくも、そこらへんの書店には無く、 代わりに、別冊宝島 「もっとすごい!! このミステリーがすごい!」 を購入した。
ぱらぱら捲りながら、 そう言えば、日本のミステリーで外国に翻訳されて、 ヒットしたものって、まだ、無かったんじゃないかな? と思う。 国内編のベストラインナップを眺めて、 これは欧米でヒットするかも? と思わせるものが見当たらない。 無論、全部の作品を読んでいるわけではなく、 いくつか読んでいる作品のランキング位置を見ながら、 乱暴に思っているのです。
マンケルは、某インタビューで、 いつか推理小説作家にノーベル賞が送られる日が来る、 と言っているそうですが、 日本の推理小説もいつか世界中でヒットするようになればいいな、 とも思います。
種は一杯あるけど、しっかり育ってがっちりしたものになるのが難しいのですよね
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| 翻訳文と古典の世界へ |
「文学界」の2008年2月号で世界文学座談会が掲載され、 ユリイカの2008年3月号が特集「新しい世界文学」を組む。 そして、 「考える人」の2008年春号の特集が「海外の長編ベスト100」。 それだけではない。 「Coyote」のNo.26が特集「柴田元幸[文学を軽やかに遊ぶ]」と題し、 No.21に次いで二度目の柴田特集を敢行している。 まだまだありそうな、この趨勢、何なんでしょう?
海外文学ファンは何千人って、本当かしら?と思う。 人数はこの際どうでもいいでしょう。 これだけ、いろいろ出て景気がいいのは、ファンとしてうれしいものです。
全体的にはとても追いつけない、というか片端をも齧りきれないほどですが、 好きなジャンルが実り豊かなのは、拍手喝采ものです。 満開の桜も真っ青じゃないでしょうか?
今、日本語を、そして文学を豊かに、高からしめているのは翻訳文学だ、 と私は思います。 翻訳者が今ほど脚光を浴びる時代は、今までなかったのではないだろうか?
つい先ほども、東京創元社の近刊案内で へニンフ・マンケルの新訳「タンゴ・ステップ」が出るのを知りえました。 ケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」下巻を今借りていますが、 その解題が宇沢弘文さん! 訳者間宮陽介の覚書と共に読む人の心を熱くするような文章です。 ふと目を上げれば、去年から買い揃えている岩波文庫のヘロドトス「歴史」が、 読め読めと怒っている。
何度生まれ変わっても翻訳本を読み続けていたい。 無論、日本文学の古典も。 久保田淳さんの新訳注で角川ソフィア文庫から出ている「新古今和歌集上」、 読める目処も立ちませんが、買ってしまいました。
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| ヘニング・マンケル |
「ミステリーが読みたい2008年版」は、 これまで、月刊誌ミステリーマガジンで特集していたものが、 単行本化されたもの。
いろいろ読みたいものが出て来るのが常ですが、 一番興味を引かれた、ヘニング・マンケルの、 シリーズ初作「殺人者の顔」を読み出して、 一気に惹かれました。 木曜日に読み始め、 金曜日の夜、座り直して読み浸り、 待ちくたびれた土曜日の夜、読み終え、 唸らされる。 これは、いい!
今年のランキングに出ている「目くらましの道」が最高傑作で、 これを気に英語圏で一気にブレイクしたようですが、 それは、予約が入って幸い読めず、 この初回作から読み始めたものの、 これはこれで十分期待に応えてくれた。
この作を読み終えていないうちから、もう次が待ちきれない思いで、 昼休みと退社時に図書館へよって、 シリーズ本をまとめて借り出す。 「白い雌ライオン」「笑う男」の分厚さに知らず笑みがこぼれてしまう。
たぶん一ヶ月以上はこれで楽しめる。 読み終える頃には、「目くらましの道」が棚に落ち着いているだろう。
これは、筆致や感性に大きく寄りかかったマイクルコナリーよりも、 内容と構成とで大きく上回っており、骨太です。 それでいて、私のような年配者が読んでも味わえる襞もしっかりある。
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| 最近メモしておいた雑誌 |
なんと言っても筆頭は、 Coyote No.21 特集 柴田元幸が歩く、オースターの街[二〇〇七年、再び摩天楼へ]
アマゾンでの紹介でまずは、十分でしょう。
それから、 PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 2008年 04月号
いつもは絶対に手にしない本。 その特集が見たくて本屋に走ってしまった。 勢い余って、雑誌の半ばから後も開いてしまい、 思わず周りを見渡し、急いで本を閉じましたが、 皆さんはそういうことの無いよう、お気をつけて…
自分の望む書斎、それはやはりいろいろあって、 一つこういうものがあればいい、 というものではないな、 ということを確信しました。
もう一つあったのを書き忘れてて、追記です。
新しい世界文学 『ユリイカ2008年3月号』
ちょっと重み、いや、手応えがありそうですね。
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| 2008年1月下旬の読書 |
先日書店に寄ったら、 文庫本で警察小説をまとめて揃えたコーナーがあり、 オオ、ブームなんだ! と感じ入りました。 おそらく、昨年末のミステリーベストからの流れでしょう。
実は個人的にもブームです。 ヘンリー・ジェイムス著「大使たち」の挫折の後、 翻訳ではなく日本の小説をむしょうに読みたくなり、 それなら、昨年かじり始めたこの頃の警察小説周辺から再開してみようと、 新潮文庫の「決断」を手にする。 これツボでした。
ここから、「アウトリミット」戸梶圭太著へと手を伸ばす。 これは、おもしろい! しかし、素直に楽しめない。 現代人の心理について暗澹とした思いにさせられ、 考え込んでしまう… 身辺で思い当たることが余りにも多過ぎて、怖ろしい。
哀しく辛い気分から、 「新宿警察 〔正〕」藤原審爾著へと方向転換して、 ホッとする。 この方が落ち着くし、安心して読め、 尚且つ、気持ちを立ち直らせてくれる。 しかし、酷い時代になったものだと、悲しい。
それから、「慟哭」を今読んでいるところです。 「13階段」と同様、受賞作らしい力のこもった文章で 引っ張ってくれますね。 巧いというより粗いが、元気だ。
疲れている時には、日本小説のエンターテイメントが合います。
沢山借りてきていても実際読めるのはこんなところ… すこし、「赤と黒」が読み出せそうかな? という感じになってきたところで、 期限切れで返さねばならない。
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| 2007年に読んだ本 |
ジェイン・エア 上&下 C・ブロンテ 2006 光文社
嵐が丘 エミリー・ブロンテ 鴻巣 友季子訳
プークが丘の妖精パック キプリング 2007 光文社 光文社古典新訳文庫
チャーリーとの旅 ジョン・スタインベック 2007 ポプラ社
すべては死にゆく ローレンス・ブロック
泥棒は深夜に徘徊する ローレンス・ブロック 快盗タナーは眠らない ローレンス・ブロック
アイアムレジェンド リチャード・マシスン 尾之上浩司訳 ハヤカワ書房
復讐はお好き? カール・ハイアセン 2007 文藝春秋
殺意のシーズン カール ハイアセン 1989 扶桑社
大魚の一撃 カール・ハイアセン 1990 扶桑社
口は災い リース・ボウエン 2007 講談社
終決者たち 上&下 マイクル・コナリー 講談社文庫
大鴉の啼く冬 アン・クリーヴス 創元推理文庫
クリスマスに少女は還る 創元推理文庫 キャロル オコンネル
ドストエフスキー 謎と力 亀山郁夫 文春新書
越境の時 1960年代と在日 鈴木道彦著 2007 集英社
新編戦後翻訳風雲録 宮田昇 2007 みすず書房
文学問答 河野多恵子、山田詠美 2007 文藝春秋
サイボーグとして生きる マイケル・コロスト 2006 ソフトバンククリエイティブ
静かなるホイッスル 柴谷晋 2006 新潮社
図書館はまちの真ん中 静岡市立御幸町図書館の挑戦 竹内比呂也他 2007 勁草書房
打ちのめされるようなすごい本 米原万里 2006 文藝春秋
書評家〈狐〉の読書遺産 山村 修 2007 文藝春秋
昭和の宿命を見つめた眼 父・高坂正顕と兄・高坂正尭
歴史の教師植村清二 植村 鞆音 2007 中央公論新社
小泉の勝利 メディアの敗北 上杉隆 2006 草思社
外交激変 −元外務省事務次官 柳井俊二 五百旗頭真・伊藤元重・薬師寺克行編 朝日新聞社
悪夢のサイクル 内橋克人 2006 文藝春秋
瀬古利彦マラソンの真髄 世界をつかんだ男の“走りの哲学” 瀬古利彦 2006 ベースボール・マガジン社
MODESTY 松井秀喜つつしみ深い生き方 伊集院 静 著 2007 ランダムハウス講談社
甲子園への遺言 門田隆将
勝負勘 岡部幸雄
おいしいもの、届けます! 猪口ゆみ 2007 新潮社
今井信子憧れ ヴィオラとともに 今井信子 2007 春秋社
世界最高のクラシック 許光俊
精魂の譜 棋士 加藤正夫と同時代の人々
主語を抹殺した男 評伝三上章 金谷武洋著 2006 講談社
翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった 金原瑞人
腐蝕生保 上巻&下巻 高杉良
ハゲタカ 上&下 真山仁 2004 ダイヤモンド社
バイアウト 真山仁 2006 ダイヤモンド社
空飛ぶタイヤ 池井戸潤著 2006 実業之日本社
ラストワンマイル 楡 周平著 2006 新潮社
うたう警官 佐々木 譲
制服捜査 佐々木 譲
警察庁から来た男 佐々木 譲
果断 隠蔽捜査 2 今野 敏
隠蔽捜査 今野敏
とせい 今野敏
任侠学園 今野敏
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| 広がる読書 |
「文字の都市」という本があります。 「世界の文学・文化の現在10講」という副題を持ち、 柴田元幸さんが企画した講座から発生した論文集です。 私には珍しい話題が次々に繰り広げられて新鮮な展開を得ることが出来ました。 例えば、「愚痴と文学」。 愚痴についてこれほど丁寧に論説した文章は初めて目にしました。 その文章に引かれていったところは、 チェーホフであったりドストエフスキーであったりして、 ウーンと膝を叩きそうになる。 「語りなおされる古典」では、四元康祐という詩人に出会いました。 その詩集を開くと、簿記を詩にしている! あの貸方と借方との間にある線を分水嶺に喩えているのです。 ここでも、ウーンと唸るのみ… 今既にある手元の世界だけでも、もう十分過ぎるほど己の力不足を感じているのですが、 こういう経験をさせられると卒倒するしかなさそう。 柴田さん、癒してよ!
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| 一冊の本から |
ポプラ社から出ている名著誕生シリーズを、 読まれている方は居られるのでしょうか? 最初の「マルクスの『資本論』」を読み出したら、 あまりの分かりやすさに「目からうろこ」モードに陥りました。 マルクスがドイツを出て資本論に取り組むまでの辺りが、 それはそれは、ホンに分かりやすく書いてあるのです。 大学生の時に読みたかったなぁ〜と吐息が漏れました。 著者は、「カール・マルクスの生涯」という分厚い伝記を既に書いており、 その経験が生きたものでしょう。 その訳者が、なんと、田口俊樹さん。思わずオイオイとつぶやきそうになる。 ここからして、この書物が、判り易さを大事にしたエンターテイメント物であることが知れます。 さて、「マルクスの『資本論』」に戻って、 巻末にある佐藤優さんの解説を読むと、 ソ連が崩壊してマルクスの思想が古びたのではなく、 グローバル化した世界経済の中で新自由主義政策がますますのさばっているから、 それに対抗するためにも「資本論」がもっと研究されなければならない、 のだと教えられました。 自分が大学生の頃にかじっていたマルクス経済学の俯瞰図も与えられ、 今になっていろいろ腑に落ちましたし、 また、もっと勉強しておけば良かったなぁ〜と痛く反省させられました。 近代日本の社会科学 アンドリュー・E・バーシェイ著 理性ある人びと力ある言葉 ローラ・ハイン著 現代の資本主義 伊藤誠著 日本経済を考え直す 伊藤誠著 『資本論』を読む 伊藤誠著 といった本を借りていたのはそういう流れの中でした。 宇野弘蔵さんの仕事について述べる力量は無論ありませんが、 その目指す方向は受け継がれてしかるべきでしょう。 折りしも、人材派遣等が大きく社会問題化され、 ワーキングプアが国境を越え問題とされている現在にあって、 労賃をどう考えるか、これは愁眉の大問題であること、 私にも分かります。 人間の労働が商品化される事の問題は、広く深く複雑なものがありますね。
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