ききみみずきんと本と図書館と…
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誘拐捜査―吉展ちゃん事件
誘拐捜査―吉展ちゃん事件
中郡 英男 著

今年、
ヘニング・マンケルや
マイ・シューヴァル&ペール・ヴァール、
それに、ヒラリー・ウォー、
加えて日本では、
佐々木譲、今野敏らによる、
優れた警察小説を読んできましたが、
その線上で出会ったこのノンフィクションに、
驚かされました。
並みの小説では追いつかない内容・展開に言葉を失う。

大抵の警察小説は、主人公の立場に寄ってしまいますが、
これは、著者が元新聞記者でありながら、
平の刑事からキャリアの管理官に至るまで偏りのない書き振りで、
鮮やかな展開に説得力を持たせています。
事件から時を隔てたからこそ書けた、という感じを受けました。

現実に起きていた失策、裏付け捜査の難しさ、
そして警察内での立場の違いによる判断の対立、
それから、思いもかけない展開は、
その後、警察小説を読み進める気を喪失させました。

「フロスト気質」は、退けて。
翻訳の話
翻訳に関心ある方、
今回のネバーランドVol.10は、見逃せません。

先に今泉さんが同雑誌でされた批評に、
訳者と出版社とが答えたものが掲載されています。

翻訳の裏の事情と言いますか、
さまざまな工夫や苦心が、
はからずもいろいろ詳しく書かれております。
こういう機会でもなければ、
なかなか表に出ないことだろうな、
と一読して思いました。

そして、著名な方の批評を、
わが事のように引いて持ち上げる愚も犯したくない、
と思いました。
自分には絶対無い、と言い切れない…(汗)

翻訳の裏には、
作品の発掘&版権習得から、
訳文作成、そして編集と、
さまざまな腐心があるかもしれない事、
肝に銘じた昼下がりだったのです。

そりゃ、まぁ、中には、
随分酷い、いい加減なものもあるでしょうが、
そこは一つ自分の言葉で素直にしませう。

この雑誌、以前、
カニグズバーグの翻訳文でも話題になりましたよね。
引き続き、気にかけていけたらいいな、
と思います。
寄り道
今野 敏さんの「乱雲 隠蔽捜査3」を読むべく、
図書館で小説新潮を手にすると、
医療小説最前線の特集が掲載されていました。

このジャンル殆ど読んでいませんが、
映像ドラマでは馴染みがある。

【ブックガイド】東えりか/戦後の医療小説30選
――医学の進歩と社会問題を深く理解できる医療小説を厳選紹介
を読んでいると、
さまざまな小説が紹介され、いろいろ読んでみたくなる。
特に最後のほうで紹介されてある作品などは、
今はもう話題にもならず図書館に置き去りになっているでしょう。
仙川環「繁殖」
南木佳士「医学生」
松樹剛史「スポーツドクター」
榊邦彦「100万分の1の恋人」等など。

今現在、このジャンルを牽引しているのは、海堂 尊さんでしょう。
どれか一作でも棚に残っていないかな?
という期待は、大きく裏切られ、いずれの著作も、
まだまだ当分は予約待ち状態が続きそうです。
読書欲が減退しそうな猛暑だけれど…
「フロスト気質(かたぎ)」の案内が、東京創元社のサイトにアップされていました。
http://www.tsogen.co.jp/wadai/0807_04.html
上下二巻で各1100円余…
「過去最大のボリュームを誇る本書」と書いてありますねぇ〜

もうこの夏の読書予定は、ここまでで一杯です。
まず、「ハリーポッターと死の秘宝」を皮切りに、
平野 啓一郎著「決壊」を経、
この「フロスト気質」が本筋で、目一杯かかるやも知れません。

予定は、以上ですが、
実は前からの予定がずれ込んであります。

マルティン・ベックものが後一冊残っているが、これは無期延長するしかないでしょう。

その他に、ヒラリー・ウォーのフェローズ署長シリーズ。
これは、現在創元社で刊行されていて手に入る三冊はもうすでに読み終えました。
後、既にハヤカワミステリブックで既刊の三冊を予約してしまった。
多分他の町から取り寄せになると思われ、
上の本命三冊が終わらない内に手に入ると正直つらい。

そして、「誘拐捜査 吉展ちゃん事件」中郡英男著に興味持ち、
これも予約してしまっている…

更に、現在放送中のテレビドラマ「コードブルー」の影響で「フライトナース」に興味を持ってしまっている。

この暑さを何とかして乗り切らなくっちゃ、
というより、
この暑さをものともせず、軽やかに疾走せねばならない、
という感じですね。
ああ、シンド…
ニュース
ジュンパ・ラヒリの新刊が来月に新潮社から出そうです。
「見知らぬ場所」というタイトルの短編集♪

http://www.honya-town.co.jp/hst/HTCatalog?ipr=HB00001128
今野敏の警察小説三シリーズ
2008年7月始め頃の夜、2006年刊行のハルキ文庫版で、
今野敏著「虚構の殺人者」を読み終える。

この巻末にある関口苑生による解説で、
最近のものを除いた、
それまでの今野敏による警察小説の主だった作品を、
流れを持たして、まとめて紹介してあります。

この後、「花水木」をもって、
今野敏さんによる、シリーズ化された警察小説の全てを読み終えたので、
この解説を利用して、ここに記して置きます。

二重標的     1988
虚構の殺人者  1990
硝子の殺人者  1991
蓬莱        1994
イコン       1995
警視庁神南署  1997
神南署安積班  1998
残照        2000
陽炎        2000
最前線      2002
半夏生      2004
花水木      2007

以上が、安積警部補らが登場する東京ベイエリア分署シリーズ。

その他、解説文中、これとは別に…とある部分で、
リオ      1996
朱夏     1998
それに
ビート     2000

が、樋口警部補が登場するシリーズ。

それから、もう既によく知られているらしい
「隠蔽捜査」シリーズが、
二作品出ており、
第三作目が、ただいま雑誌連載中です。

これらの作品群については、
小説新潮2008.7号でも、取りまとめてあるので、
より新しく、詳しいものを求められる方はそちらをご覧下さい。

この解説文中での「触発」は、以上のシリーズものではありません。
今野敏さんの他の警察小説、三四作、手にしましたが、
気に入ったのは、以上の三シリーズでした。
折に触れ、暇つぶしに、又、読み返したいと思う。

今野さんの他の作品と大きく異なるのは、
1950年頃生まれの世代観にどっしりと腰を据えていること。
他の作品に比べて、身が入ります。

世代を一番強く意識して真正面に出しているのが、
樋口警部補が出ているシリーズです。

安積警部補が出ているシリーズは、
署内一刑事課の人間模様を中心にして、
そのやり取りが格段におもしろい。
親しめるまでに、煩瑣を感じられたらそれまでですが、
このシリーズが一番長く、
延々と読んできて、最新作の短編集「花水木」を読むと、
ご満悦モード、フルです。

そして、「隠蔽捜査」シリーズが一番新しく、
一般の読者にはこのシリーズが一番入りやすいかもしれません。
それまでのシリーズよりは、作者からの距離が保たれていて、
敷居が低いでしょう。
コアな今野ファンには、少々物足りないかもしれませんが、
より多くの読者を獲得するには、この方向がいいと思う。
海外ベストセラー
ミステリーマガジン2008・7号を捲っていたら、
海外ベストセラーの紹介をしていました。

英国ネット書店の
クライム・ミステリー&スリラー部門の由。

第一位は、新しいボンド作家として公認?された、
セバスティアン・フォークスによる、
007シリーズ最新作です。
これに関するブログ記事を一つ。
http://www.fusosha.co.jp/mysteryblog/2008/06/post_76.html

それから、4位に桐野夏生著「OUT」の英訳本が入ってきています♪

そして、第7位に、
ローガン・マクレイ・シリーズの第4作が…!
スチュアート マクブライドによるこのシリーズ第一作、
「花崗岩の街」は、気に入ってて次作待ちですが、
第3作までの出版契約とどこかで読んでいたけれど、
もう4作がヒットしている♪
うれしいです。

こんな翻訳待ちがあると、
「後数年は死ねない」をいう思いを抱きながら、
ズーッと生きていきそうです。
ほんやく本好きは、長生きするかな?
後手をひく
昼下がり、いそいそと図書館へ赴き、
「小説新潮」の連載「隠蔽捜査3」を読もうとしたら、
もう7月号が棚に並んでいた…
無論、月遅れは早々に借り出されて手の出しようがありません。

仕方なく手にした七月号でしたが、
山本周五郎記念特集で、
失念を補って余りある収穫!
連載二回目は無論読んだのですが、
受賞第一作も掲載され、
これが今の連載とリンクした作品で、なかなかのサービス♪
そして、今野敏さんのロングインタビューで頷くことしばしばでした。
樋口、安積ファン必読ではないでしょうか?

特集で並ぶ伊坂孝太郎さん、気になりますが、
手を出す余裕が無く、いつかの機会を待ちます。
傾斜していく読書
予約が続いて入っているマキューアンの「贖罪」、
ようよう再会できて、リターンマッチです。
なかなか読み進めなかった第一部とは打って変わり、
第二部からはぐいぐい引っ張られます。
あのダンケルクの撤退のこのような場面をこんな所で知ろう、
とは夢にも思いませんでした。
そして、幼い過ちを許す事の難しさ、
更に、自らの過失を贖う困難さが、見事に托し込まれて、
アッと声を上げる。
いろいろ作品としての企みが籠められて唖然とさせられたこと、
二度三度ではありませんでした。
そうして最終章の年月の重みを湛えた感慨は、
これ、映画じゃ無理でしょう!
読み終え、一日余、次の本に手が出ませんでした。

今は、「贖罪」ショックから立ち直り、
次に予約で手に入った「タンゴステップ」を読み進めております。
というわけで、マルティン・ベックさんらは、
ちょっとお休みと相成っています。
好きな小説の中から二つ
藤沢周平さんの短編小説の中に好きなものが幾つかあり、
その一つが、「山桜」。

これが、映画化されて、来月には、地元のミニシアターで見られます。
でも、いま一つ見たい気が起こらない。
自分の中でこの短編小説が、結構大きく重要なものになっている所為だろう、
と思います。

キャスティングからして大きくイメージが違っているし…

何度か読んでいるので、
年代に応じて感じ方が異なってきています。

若い頃は、過剰に共感して、自分も道を誤ったか、
と思ったものですが、
この頃は、さまで決め付けなくとも、
これはこれで良かったのだ、と思えるようこれから努力せねばならない、
と思うようになってきています。

この短編を書かれた藤沢さんよりもう歳を越しているのですが、
それでも、繰り返し読めるほどに周到に書かれてあるのに気づき、
今回もあらためて、藤沢さんに惚れ直しました。

今野敏さんの「隠蔽捜査」シリーズの最新が、
週刊新潮で連載されていることを、
つい先ほど、某ブログで知り得ました。
今度図書館へ行くついでがあったら、
是非に読もうと思います。
今野敏さんの作品中好きなシリーズ物の一つです。

あっ、そう言えば、拙HPへ来られている方のお一人がこのシリーズを読んでいる最中。
他のシリーズも読むだろうか?
そんな関心も密かにあって、固唾を呑んで見守っています。
なにせ読む本、読む対象がむちゃくちゃ広いのでお勧めするには、ためらいます。


プロフィール

Author:ききみみずきん
職業は、製本工。
司書の講習も受けました。
趣味は、読書と映画と文章を書くこと等など



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